こんにちは!元看護師で、現在はWebエンジニアリングを学びながら医療DXプロダクトの開発に取り組んでいます。
今回から、個人開発で進めている「看護師向けタスク・動線管理ツール」の開発プロセスや試行錯誤を記録する連載をスタートします!
📌 シリーズ連載について 元看護師の筆者が、現場での課題感(移動動線・割り込み業務・認知的負荷)をもとに個人開発を進めている「看護師向けタスク・動線管理ツール」の試行錯誤と進捗を記録する連載ブログの第1回です。
はじめに:現場で感じる「言葉にできない疲弊」
病棟勤務時代、看護師として患者さんのケアに追われる日々の中で、ずっと疑問に思っていたことがありました。
「なぜ看護師はこんなに病棟の中を歩き回り、毎日何に追われてパニックになりかけているのだろう?」
看護師の仕事は、1日の歩行数が1万歩を超えることが珍しくありません。しかし、その歩数の多くは「移動の重複」や「確認漏れによる往復」です。
さらに、検温や処置の最中にナースコールや急変対応などの「割り込み業務」が入ると、直前の思考がリセットされます。
- 「さっきまで何をやろうとしていたっけ……?」
- 「A号室の検温が終わってステーションに戻った瞬間に、A号室の点滴更新を思い出して引き返す……」
このような「思い出すコスト(認知的負荷)」は、看護師の精神的・肉体的疲弊だけでなく、ヒヤリハットや医療ミスの大きな要因となっています。
なぜ一般的なToDoアプリでは看護現場を救えないのか?
世の中には「Trello」や「Todoist」など優れたタスク管理ツールが存在しますが、看護現場にそのまま導入しても絶対に機能しません。理由は大きく3つあります。
- タスクの「中断・再開」に対応できない:一般的なツールは「未完了/完了」の二者択一です。しかし看護現場では「処置の途中で割り込みが入り、一時中断する」「記録の入力途中で患者対応に入り、記録が中断する」といった複雑な状態変化が日常茶飯事です。
- 「部屋の位置・移動動線」が考慮されていない:時間順や優先度順に並んだタスクリストでは、「どの病室で何をまとめるか」が見えません。結果として同じ病室に何度も出入りする「ムダな往復」が発生します。
- 両手での端末操作を前提としている:滅菌手袋を着用していたり物品を運んでいたりするため、画面を熟読したり両手で細かくフリック入力したりする暇はありません。
要件定義書Ver3で定義した解決アプローチ
これらの課題を解決するため、看護師としてのドメイン知識とWebプログラミング技術を融合し、「要件定義書Ver3」として実装機能を整理しました。
1. 割り込みに負けない「10段階細粒度ステータス」&「レジュームナビ」
処置だけでなく「記録入力中(record_start)」や「記録中断(record_pending)」の概念を追加。割り込み対応が終わった瞬間、「さっき中断した作業」をアプリが最優先で画面上にナビゲートし、思い出すコストをゼロにします。
2. 移動動線を短縮する「ついでレコメンド」
病室IDを選択(または将来的なBluetooth/BLEビーコン連携)すると、同室内の低優先度タスク(ゴミ捨て・物品補充など)を自動ポップアップ。1回の入室でまとめて片付けられる仕組みを作ります。
3. 片手操作(One-Hand Action)とZero-State UI
親指一本で全ての主要操作が完了するレイアウト。今必要な情報以外を排する「Zero-State UI」と、画面を見ずに完了を感知できる「触覚フィードバック(Haptic Feedback)」で誤操作を防ぎます。
段階的開発ロードマップ
本プロジェクトは、現実的な検証とスピード感を重視し、以下の3フェーズで進行中です。
【Phase 1 : MVP(コア機能検証)】★現在完了・ブラッシュアップ中
- 1人利用 / タイムライン表示 / Zustandによる超高速ローカル管理
- タイムライン上でのドラッグ&ドロップ操作、9〜10段階の厳密なステータス変化と爆速UIレスポンスを実装検証完了。
【Phase 2 : チーム連携 & マルチプラットフォーム化】👈 NEXT
- Firebase (Firestore) リアルタイム同期 / React (PC) & React Native (スマホ)
- 複数スタッフ間でのリアルタイムタスク共有、リーダーからの割り込み指示機能、現場端末(スマホ)と計画端末(PC)への特化展開。
【Phase 3 : ハードウェア連携 & 全体最適(将来構想)】
- BLEビーコン自動位置検知 / 負荷ヒートマップ表示 / 業務改善ログ解析
- ハンズフリー入室検知、病棟全体の負荷(stress_level)可視化、JSONログ出力による業務改善ツール連携。
まとめと次回予告
看護師の「多重課題」と「無駄な動線」は、個人のスキル不足ではなくシステムの仕組みで解決すべき問題です。
個人開発という形ではありますが、現場のリアルな痛みに寄り添ったプロトタイプを着実に形にしていきます。
📣 次回予告(Vol. 2) 次回のブログ記事では、「片手で操作できるUI/UXの工夫と、夜間病棟でも使える3つのカラーパレット」について、実際の画面デザインを交えて詳しくご紹介します!お楽しみに!

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